肩こり背部痛が2年前から気になる 50代 男性 会社員CAD設計

気になるところ


肩こり 
背部痛(肩甲骨間)

 

1)事務職:CADで機械製図→デスク作業。

 

2)長身。

 

3)2年前に坐骨痛、事務作業を行う際に原因不明の坐骨痛。

 

4)3から座布団を敷いた。

 

5)運動は頻繁にされ、トライアスロンレースにも出られている。

 

4)常時痛、就寝時痛は聞いていないので再度次回確認を行う必要があるが、クライアントさまの口から問題定義無い。

 

5)昔から猫背を気にしている。

 

 

 

 

 

 

仮説と検証


就寝時ではなく就業中他、肩こりや背部痛を感じる事が多く、また運動も頻繁にされる。

しかしながらご自身が昔から「猫背」を意識されていると言う事もあり、姿勢評価から行う。

 

姿勢評価

前額面
1)胸部の盛り上がり

2)腰椎の前彎過剰

3)お尻が出たように見える事から、脊柱の生理的彎曲が大きい

 

矢状面
1)前方頭位

2)th1-6(第1-6胸椎)の屈曲

3)腰椎の過前彎

姿勢評価からのデーターを加味して、自動運動評価(自身で行う運動)から、胸腰椎のROM(可動性)確認を行う。

 


 

運動評価

自動運動にて胸腰椎のROM(可動性)確認を行う。

 

前屈:胸椎主導→前屈深さが足りなく胸椎だけ屈曲し、腰椎の動作が胸椎に追従しない。

伸展:腰椎主導→下部腰椎のみ伸展を行い(Ⅼ4-5:第4-5腰椎)、上部腰椎並びに胸椎の追従性はほぼ無い。

 

上記から、胸椎は屈曲し腰椎はその代償で過前彎し、上半身重心と下半身重心位置を相殺、身体重心が真ん中に来るように調整している。

 

その相殺時に代償からの脊柱起立筋群が中心に過活動、インナーに於いての抗重力伸展活動(腸腰筋+多裂筋の同時収縮)が少なく、起立筋群が緊張し動作制限を一層加えていると考えた。(頸椎後面の過緊張ー腰椎過前彎)

 


 

問診からの気になる点
4)坐骨痛からの座布団を引いた
おそらく腰部?もしくは梨状筋の硬結から坐骨神経経路圧迫にて痛み、原因不明の坐骨神経症状なのか?座布団で回避。

 

しかし座布団を引くことで椅子とデスクの位置関係が変化、机が低く感じ余計に猫背で仕事をする必要性があり、頸部・背部痛や肩こりが増強された可能性があり、今回のお悩みと時期的に近い。

 

5)猫背からの運動パフォーマンス低下
胸椎屈曲は肋骨の下制を助長し、吸気の後方回旋運動の阻害が起こりやすい→確認のため深呼吸をして頂くと頭部が固定できず呼吸と同調し動いてしまう。

 

この事から胸郭回旋運動が上手く行われない、わかりやすく言えば特に上肢の機能が大きくかかわる水泳でのクロールはしにくい、

ちなみに猫背でクロールすると腕が上がらないのが分かる。

 

もちろんランでも歩行でも代償痛のダメージ深さは異なるものの、パフォーマンス低下は否めない。

 

6)既往の膝前部痛
猫背が関係してくると、歩行並びにランでも脚力が地面を踏みつける方向へ作用点が行き大腿四頭筋過活動→膝伸展筋として負荷する、その事で特に大腿直筋の走行では膝蓋骨(脛の皿)を経て脛骨粗面へ付着(膝下すぐ)、この事から膝蓋骨と大腿骨のクリアランス低下から干渉を起こし発痛。

 

もしくは膝蓋骨からの膝蓋靭帯の下にある膝蓋下滑液包を刺激して痛みを起こしやすい。

 

この痛みも、引いて鳥の目で見れば姿勢が原因と考える

 

 

 

 

 

 

コンディショニング

 

1)胸椎伸展エクササイズ

 

2)トライアスロンにての筋疲労をトリートメント

 

3)既往に膝前部痛があるとの事、ランニングにてなりやすいのでその原因と、気を付ける事を(大腿四頭筋を過緊張に追い込まない姿勢)アドバイス。

 

4)スイムに際しての「どこをトレーニングするべきか?」に対し、推進力として上肢が7-8割大切な事。

更にはクロールであるフォームに対し、矢状面の特異的トレーニングをアドバイス。

 

5)運動後には必ずスタティックストレッチを行う事。

 

 

 

 

 

 

備考


トライアスロンをされてとても活動的で、50代であれば内臓諸器官に問題を起こしやすい座業やご年齢、その心配は皆無と思われるくらいお元気だと感じました。

 

しかしながら、姿勢は肩こり腰痛ほか関節疾患の問題のみならず、運動パフォーマンスにも深くかかわると思います。

 

例えば、赤ちゃんが立位を作る際につかまり立ちをしながら、何度もこけながら練習し、やがて立位が完成し歩行や走破が出来るように成長進化します。

 

なのでその能力向上を目指すなら、そもそもの姿勢でスポーツであればスタートポジションである、そう考えながら今後ご縁が出来ましら、段階を踏みながらパフォーマンス向上にもお力添えできればと考えます。