気になるところ
急性腰痛
数日前からご自身で背骨を伸ばそうと思いストレッチポールを購入し行う、その際に下部胸椎へ伸展可動域を与えようとして横方向へ入れた。
そのエクササイズから2日後腰部への違和感、最初は腰部伸展痛と思いきやその翌日に前屈・伸展他複合の動きでもある立ち上がり痛まで起こりご来院との事でした。
仮説と検証
1)ストレッチポールを入れた日から問題が起こる→方向・使用箇所は適正なのか?→そもそも脊柱のROM(可動域)が少ないし反り腰の傾向があった。
2)1から脊柱に対し直角方向へ(横方向)へ入れ、更に足を曲げる(股関節屈曲し骨盤後傾で腰椎過伸展を防ぐ)事もなかったと伺う
3)1からそもそも脊柱の伸展制限がどこにあるのか?理解できずに「のばせばいい」と言う感覚で行った→動きにくい椎体へのアプローチが出来ていない→それ以上に動き過ぎの椎間へアプローチして不安定性を持たせた。
4)結果的に今回のエクササイズは常日頃動きやすく、かつ一番伸展に貢献している部位へ刺激し、結果的不安定と椎間狭窄の果てに椎間関節性の腰痛を起こしたと考えられる
5)4からの不安定性を補う&前屈位で椎間狭窄の痛み回避のために(痛みの代償行為)、やや骨盤後傾からの運動連鎖で下肢は、股関節屈曲-膝屈曲で上肢は腰椎-胸椎屈曲し丸くなる
6)5から背部の胸最長筋や腰腸肋筋などに伸展モーメントが掛かり結果的に激痛は前屈も伸展も起こったのでは?との仮説
コンディショニング
1)動きにくい椎体を探し可動性を持たせ、動き過ぎで痛みが有る椎間を休ませる
2)アイシング20分
3)特に右皮膚に張り感があり筋膜の滑走を妨げているのでテーピング処置(右胸最長筋あたりの浅筋膜滑走性)
どうしても炎症が酷いので3日間は経過時間が必要となる、その間どれだけアイシングで消炎できるのか?が日常生活の中での炎症と消炎の拮抗度合いによる。
今回エクササイズも正しく行わないと逆に痛みを起こす見本となると考えます。
3日後経過観察
前屈痛メインに痛みが残るNRS3(痛みの10段階評価)
伸展痛はある事はあるが一部分より(指で半径1cmを限定)どの椎間も大きく伸展すれば痛みが有る。
仮説と評価
1)伸展痛の箇所が前回の様に局限出来ずあいまいになり限定出来ない、そして大きく動かすと痛みが有る→局所狭窄から全体的に狭窄されている、炎症は収まるも何かの原因で未だ椎間を狭め動きを少なくしている。
特に体幹右回旋が少なく、静止状態でも左肩ー臀部にかけて後方回旋の傾向。
2)1の椎間狭窄させているのは起立筋ではないのか?(筋膜)
体幹の伸展筋は深部:多裂筋で浅部は起立筋となる、多裂筋は起始・停止の関係上(筋が骨への付着特性上)、作用しても回旋側屈などの機能を失い難い。
対し起立筋は伸展させる機能が働くと側屈や回旋運動を阻害するので起立筋が過緊張している可能性がある。
3)起立筋が過緊張しなければならない理由に初回椎間狭窄があり炎症、胸椎ー腰椎ー骨盤後傾の運動連鎖から、神経根圧迫痛から逃れたい理由で関節の緩みの位置を作り出す。
その位置を維持するために伸展筋でもアウターの起立筋のパワーで姿勢維持をし続け近傍の筋膜過緊張している可能性が否めない。
コンディショニング
1)起立筋のハンズオン
2)特に腰腸肋筋のハンズオン
3)起立筋ストレッチエクササイズ
消炎されてようやくハンズオン出来るレベルになるNRS1(痛みの10段階評価)だがすぐに戻る、この事からもホームエクササイズ指導にて起立筋の伸展を図る。
一口に腰痛と言えども多岐の要因が複合で起こる事が多く、安直的にこれを行えば良いと言う方法は単純には無いと感じる。
故にひとつずつ分解しそのレベルにてエクササイズ他加味されたいと思いその部分を重点的のお伝えしました。