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メンテナンス3か月空いたら肩から股関節まで痛い  40代 女性 医療従事者

 気になるところ

 

毎月メンテナンス来院をしていたが、最近調子よ良く慢性肩こりも腰痛も出ないので3か月間放置。

冬季になりここ数日でぐっと気温が下がり、それの原因かどうかは分からないが不調が出てきたのでご来院との事。

 

1)慢性肩こりや首の痛み(特に右側に感じる)

 

2)鈍く凝ったような右腰痛

 

3)自転車でのペダリング(特に座りこぎ)で右股関節が痛い、立つとそうでもない

 

 

 

姿勢確認と仮説と検証からの評価

 

気温の関係から体表温度を下げない様に表皮緊張や筋膜の収縮とのクライアント様のお話もある。

しかしながら、3か月間手つかずのフィジカルは抗重力の観点(姿勢制御)も含め変調していると考え評価を行う。

 

 

1)前額面姿勢

左第2肋骨下制・前方吐出 左鎖骨も第2肋骨変位に同調気味→右外腹斜筋過緊張から胸郭右回旋の可能性

左胸郭の方がふくらみが大きい→肋骨角の左右差はそこまで感じないがうちへ捲り込まれている?右横隔膜の緊張?

肩甲骨の上方回旋が少ない→胸郭右回旋の代償から右肩甲骨外転下制し左へカウンターローテーションの可能性

 

2)矢状面姿勢

胸椎屈曲→自動・他動運動からの骨か?それ以外なのか?評価する

立位姿勢が「努力的」で下部腰椎1か所を過伸展させてのけ反り立ち→起立筋過緊張?

 

これらの姿勢を動的評価から検証する。

 

3)動朝評価(+:所見あり)

屈曲:腰椎(+)→座位姿勢にて前屈同調不足、仰臥位に寝た際には腰部の浮きは認めない、努力性姿勢からの起立筋過作用

伸展:胸椎(+)→他動運動でも伸展制限があり骨性の可能性が高くなる、それにて腰椎過伸展からの努力性立位姿勢が起きている

回旋:左回旋(+)→胸郭が右回旋していて左外腹斜筋の過緊張を認めた、右肩甲骨はカウンターローテーションして前鋸筋緊張

 

吸気による肋骨拡張の評価:右胸郭(+)横隔膜のリリースを行いその後左右大きさと拡張度合いが揃う事を確認

 

4)右股関節の評価

 

立位

ほぼ股関節内旋位と運動連鎖的にも骨盤水平と前後傾の問題ない。

 

歩行観察

右股関節は内旋し、そのままで足部はIC(踵接地)にて小趾側を歩行方向へ向けてブレーキを掛け気味な歩行をしている可能性、小趾MP関節付近へ皮膚肥厚も認めた。

 

動的確認と評価

健側左に対し、患側右は不安定で片脚立位時に骨頭が臼蓋から抜けそうな不安定さがある。

この事から、立位時も臼蓋と骨頭が安定する姿位(股関節内旋→内股)をキープしやすく健側左と異なる所見。

 

自転車にのり座りこぎで痛みは、股関節屈曲は基本的に安定化機構が低下、関節包も筋組織もスタビリティにはあまり協力しない為痛みが出やすいが、その中でも殿筋上部繊維・内閉鎖筋や腸腰筋など、骨頭が臼蓋へ求心方向へ吸い付けられる機能を取り戻す。

 

今回はロコモーター(下肢運動器官)に対し、パッセンジャー(荷物としての体幹)アライメントの変化、セルフケアを含めたメンテナンス不足からの股関節に至る多重問題と考えました。

 

 

 

コンディショニング

 

1)胸椎伸展エクササイズ+脊柱起立筋(特に腰腸肋筋)リリース

2)右前鋸筋・左外腹斜筋リリース

3)足関節背屈促通エクササイズ

4)右内閉鎖筋 腸腰筋賦活化トレーニング

 

 

 

備考

メンテナンスの必要性の症例とも言えますが、体幹機能が変調すると身体重心位置が変わり、それを元へ戻そうとあらゆる筋組織が過活動を起こします。

 

そんな時にヒトは問題点を感じますが、そうなると今回の様に股関節の痛みが猫背→方向時について骨盤後傾→股関節の不安定性位置になる→安定化のために股関節内旋→内股で歩き足小指へ歩行痛→更に歩様が変化し股関節へ多重代償を起こし痛み。

 

その事がこの症例からお伝えできれば幸いです。