気になるところ
右腰・背部痛
- 2年ぶりの再来院
- 以前は当院へ月1回程度の来院、御主人にいつまで通うのか?と叱られるので辞めた
- 当時はある程度痛みは落ち着き楽になっていた
- 当院へ来られなくなり1年後程度から腰痛と猫背が目立ち、ご主人の行きつけの全国展開している整骨院へ行く
- そこで「腹筋が弱いので強化して姿勢修正と腰痛防止にしましょう」とのEMS処置を行う
- EMS処置に激痛があり余計に腹部まで痛み出現、さらに保険適応外なので3か月で9万円の高額請求
- 3か月通院しても効果なく、再度継続したら良くなるとの指導があるも「激痛処置」と高額に耐えれず辞める
- それでも腹部の出来た痛みと、以前からの腰背部痛に耐えれず大手チエーン店の整体院へ行く
- 「背中が硬いですね」と言われ右th1-3:第1-3胸椎周辺の起立筋を木片の棒で押される
- その部位が創傷を起こし、化膿して痛みになる
- 整形外科にて切開し化膿止めを貰い現在に至る
- 背中の画像を受傷元の整体院に見せ伝えると「シップ貼れば治る」と言い放つ
- 創傷も治りネットで整体院を地元で検索を掛けると当院の案内が出た、行き難いと感じながら当院にご連絡いただき今回2年ぶりのご来院となる
仮説と検証
右腰背部痛は仰臥位に寝たら楽になる事から姿勢痛と考え以下仮説と検証を行う
1)姿勢評価
前額面
胸郭左回旋
右肩甲骨ー胸郭(肩甲胸郭関節)アライメントは正常
矢状面
亀背、前方頭位は無いが頭部もそろい前傾
L5:第5腰椎付近を起点に前屈
骨盤後傾
股関節・膝関節軽度屈曲
2)動的評価
屈曲:(+)ROM(可動域)低下、無痛
伸展:(+)ROM低下、動作の起点はL5
回旋:(+)右回旋出来ない
3)他評価
前屈と右回旋の評価
- 胸郭左回旋している原因は外腹斜筋の対側回旋が効いている→リリースすると好転
- 胸郭回旋に同調している→右前鋸筋過緊張の可能性→リリース後に好転
- 前屈の原因は「骨」「モーターコントロール」の鑑別→仰臥位になって頂き他動的に伸展可能なのか?→出来た
- 但し、上部胸椎th1-3は伸展制限があるが今回は創傷回復間近なので処置無し
- 立位亀背の原因として、腹部コアの低下が考えられる→その中で横隔膜の低下とコアの連動性から出来ていない?
- その仮説から胸式呼吸の評価→腹式呼吸主導で胸郭の拡張収縮が出来ていない→腹式呼吸の指導を他院でされていた
- 腹式呼吸の促通は本症例では腰椎伸展促通の弊害になる、代償行為として定着してしまっている
- 上記から胸式呼吸を強制的に行う→立位姿勢は好転し胸椎は進展を成した
コンディショニング
- 胸椎伸展エクササイズ(th7-9:第7-9胸椎)
- 右外腹斜筋ー筋連結ー前鋸筋リリース
- 胸式呼吸促通
- ホームエクササイズの指導
- 次回施術方針の説明
- 腹式呼吸→胸式呼吸の切り替えエクササイズ
- 抗重力伸展活動を促通し、同側性運動リズム→対側性運動リズムに運動パターンを切り替えるエクササイズ
- 上記からの前屈み姿勢のボディイメージを脳内へ正常姿勢に書き換え、重心を支持基底面内正規位置へ戻す
- そのための骨盤後傾から殿筋ーハムストリング筋低下も認めた→単一強化→動作パタンでの動作連結
- その事で、代償性の背部筋過活動を抑制し痛みを継続してなくす生活を取り戻す
備考
一度来られなくなって、心外されるお気持ちがあり足が遠かったとの事、ご家庭の事情も分かっていますので笑顔で「おかえりなさい」とお伝えし心を開放して差し上げました。
先ずはクライアント様とご縁を頂き、その問題点を克服する事「相互利益」の中で私どもも生かされていると考えています、つまり高額請求もしませんし対価に見合うべらぼうな好転も不可能で、お悩みに付け込んだ商法はとても腹立たしくさえ思います。
それより当院理念から先ずは「クライアント様が楽にならないとダメ」で、加えて困難を完遂しようと思うなら常に新しい知識と技術向上も必要だと考えます。
今現在、理学療法のオンライン勉強会に月2回のペースで参加しています。
どんどん臨床でのケーススタディや、外科的手術後の症例で例えばTHAやTKAなど予後経過など、さまざまな貴重な情報を得られ還元できればと思います。
ちゃんとしたセラピーをしないと、好転どころか悪化すると言う事もしみじみと感じました。