【症例報告】
確定申告時期の長時間の座り仕事による
腰の違和感と姿勢改善の記録
1. はじめに:患者様プロフィールと来院のきっかけ
今回は、自営業50代のU.S.様が、腰の違和感を主訴に来院されました。
来院のきっかけは、1月1日から開始された確定申告に伴う事務作業です。普段の業務に加え、連日のように長時間のPC作業が続いたことで、腰への負担が蓄積してしまったようです。年度末の多忙な時期、同じようにデスクワークで身体を酷使されている方は多いのではないでしょうか。U.S.様の事例を通じて、座り仕事が身体に与える影響とその改善過程を詳しくお伝えします。
2. S(Subjective):お客様の訴えと日常生活の状況
U.T様が現在感じている不調や、日常生活での困りごとは以下の通りです。
- 荷重時の痛み:特に「座った状態から立ち上がる瞬間」など、腰に体重がかかるタイミングで鋭い痛みが生じています。
- 検査時の異常感覚:常時痛みがあるわけではありませんが、検査のために患部を圧迫すると、深部に「ジジーン」と響くような独特の感覚(神経の興奮を唆させる反応)があることを確認しました。
- 背景と環境:1月に入ってから慣れないPC作業を毎日継続しており、この「座りっぱなし」の姿勢が長時間続いていることが、身体にとって大きな物理的ストレスとなっています。
現在は動き始める瞬間に注意が必要な状態で、日常生活の中で常に腰への不安を抱えながら過ごされています。
3. O(Objective):身体の状態と姿勢の変化
身体の状態を客観的に評価した結果、以下のような特徴が見られました。画像から読み取れる変化を具体的に解説します。
姿勢の変化(立位)
施術前は、PC画面を覗き込む姿勢の影響で「前方頭位(ぜんぽうとうい:頭が肩よりも前に出た状態)」と「円背(えんぱい:背中が丸まった猫背の状態)」が顕著でした。 施術後は、耳の位置が身体の垂直軸(中心線)へと近づき、沈み込んでいた胸郭(きょうかく:胸を構成する籠状の骨格)がしっかりと上がりました。結果として、前に突き出ていた頭の位置が本来の場所に修正され、背筋が自然に伸びた姿勢へと変化しました。
身体のバランス(腹臥位:うつ伏せ)
施術前のうつ伏せ状態では、骨盤周りや体幹の筋肉の緊張に顕著な左右差が見られ、タオルの盛り上がり方(隆起)が左右で非対称でした。 施術後は、骨盤のアライメント(整列状態)が身体の中心線へと整い、腰背部の緊張が緩和したことで、左右の盛り上がりの差が解消され、全体的にフラットでリラックスした状態へと落ち着きました。
各種検査結果
- 局所の圧痛:右側の臀部(お尻)から「坐骨神経出口付近」にかけて、強い痛みや響く感覚が確認されました。
- アイシング反応:患部を冷やすことで疼痛が緩和し、心地よさを感じる「消炎サイン」が見られました。これは組織の深部に炎症が起きている証拠です。
- 牽引と圧迫:背骨を優しく引っ張る(牽引)と痛みが消失し、逆に圧迫を加えると痛みが増しました。この結果から、骨と骨の隙間が狭まっていることが痛みの直接的な要因であると判断しました。
4. A(Assessment):現在の状態の評価と考察
以上の情報を踏まえ、専門的な見地から現在の状態を評価します。
最大の原因は、長時間の座り姿勢によって腰椎(腰の骨)に対して持続的な圧迫ストレスがかかり続けたことです。「牽引で楽になる」という反応から、椎間(ついかん:背骨の骨と骨の間)や脊柱管(神経が通る管)の隙間が狭まり、神経や周囲の組織に過剰な圧力がかかっている可能性が極めて高いと考えられます。
また、アイシングによって痛みが軽減することから、組織の深部では微細な炎症が起きています。U.S.様が感じていた「ジジーン」という響くような感覚は、この炎症や神経への干渉が影響していると推測されます。 PC作業による「前方頭位」が起点となり、背中が丸まって腰への負担を増大させるという、いわば「姿勢の負のドミノ倒し」が起きていたといえるでしょう。
5. P(Plan):今後の対応とセルフケアのアドバイス
確定申告という繁忙期を乗り切り、早期の回復を実現するために、以下のプランを厳守していただくようお伝えしました。
【最重要】すべてのストレッチの一旦中止 現在行っている「首のタオルストレッチ」を含め、すべてのストレッチを一時的に完全に中止してください。 炎症(火事)が起きている今の段階で筋肉を伸ばす刺激を与えることは、火に油を注ぐようなものです。回復を遅らせ、神経の異常感覚を悪化させる恐れがあるため、今は「消炎・安静」を最優先してください。
- 自宅でのアイシングの継続 炎症を鎮めるため、自宅でも定期的に患部を冷やすことを習慣にしてください。
- 次回の来院目安 状態の安定と再評価のため、次回は2月25日(水)09:30にお越しください。
確定申告の業務は非常に心身を削る作業かと思いますが、無理なセルフケアで悪化させないことが、結果として仕事を完遂するための近道となります。
6. 結び:安心感を与えるメッセージ
腰に不安を抱えながら、眼鏡店としての接客や細かな事務作業に励まれるのは、本当にお辛いこととお察しいたします。しかし、今回のように早い段階で身体のサインに気づき、ケアを開始できたことは回復への大きな一歩です。
まずは炎症を落ち着かせ、狭まっている骨の隙間にゆとりを持たせていくことで、荷重時の不安感も少しずつ解消されていきます。確定申告という大きな山場を無事に、そして健康に乗り越えられるよう、今後もしっかりとサポートさせていただきます。どうぞ安心してお任せください。
