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【臨床記録】歩行改善と胸椎の内部阻害因子へのアプローチ

【臨床記録】歩行改善と胸椎の内部阻害因子へのアプローチ

本日のリハビリ介入記録(SOAP形式)です。動作の代償から長年の癖まで、根本的な原因を深掘りした臨床推論をまとめています。


日時: 2026年6月12日
担当: やわらぎ整体堂

S(Subjective:主観的情報)

  • 骨盤骨折受傷70日経過、仮骨形成から骨形成進行に伴う歩行練習
  • 歩行時に頭部と肩を左右に揺らし歩く「代償性歩行」がきになり、前日のリハで胸椎回旋ROM低下を認識
  • このまま代償を続けると、退院後も膝痛(既往アリ)の再燃となるため修正したい
  • リハビリで胸椎回旋運動を賦活化、「やっぱり歩きやすい」と、昨日の介入(左外腹斜筋リリース)に対する明確な歩行改善の自覚あり。
  • 一方で「もう少し何とかしたい」と、さらなる動作改善への意欲・違和感の訴えあり。
  • ※特記事項:受傷前の健常時から、現在の歩容(頭部の側方動揺など)に近い動作パターンが存在していたことが判明。

O(Objective:客観的情報)

  • 歩行観察: 歩行開始時は頭部の側方動揺が見られるが、歩行距離が伸びるにつれて動揺は消失し安定する(動作の再学習・適応が良好)。
  • ROM・アライメント評価:
    • 胸椎(Th6-7付近)の伸展ROM制限あり。
    • 特に胸椎の左伸展・回旋に強い制限(+)。
    • 右臀部に疼痛あり(本日、病院PTによる12cm昇降台リハビリ施行後)。
  • 動作分析(寝返り): 「伸展・回旋パターン」が機能せず、「屈曲・回旋パターン」が優位。肩甲骨の内転制限が顕著。
  • 患者自身のセルフケア: 昨日のフィードバックをもとに、患者自身で左外腹斜筋のトリガーポイントリリースを実施済み(制限はクリアになっている状態)。

A(Assessment:評価・推論)

  • 胸椎伸展制限の根本要因: 幼少期からの気管支の脆弱性および長期の喫煙歴に起因する、胸膜・心膜の拘縮、および樽状胸郭(Barrel chest)の形成が疑われる。これが内部阻害因子となり、胸椎伸展および肩甲骨内転を構造的にロックしている。
  • 寝返り動作の代償: 胸郭の拘縮により伸展回旋が物理的に困難なため、屈曲して反動を使う代償動作となっている。
  • 歩行と動作の連鎖: 健常時からの歩容(頭部動揺)も、この胸郭の拘縮による体幹回旋不足を補うための代償動作として定着している可能性が高い。
  • 右臀部痛の要因: 昇降台エクササイズの負荷に対する代償として、右大腿筋膜張筋(TFL)の過緊張が生じていると推測。

P(Plan / Intervention:計画・実施内容)

本日、胸郭の内部阻害因子および下肢の代償動作に対して、以下の5段階のアプローチを実施。

  1. 右大腿筋膜張筋(TFL)リリース: 病院リハビリ(昇降台)の疲労と代償による右臀部痛の除去。
  2. 股関節伸展ROM拡充: Mst〜Tstにおける推進力の土台再構築。
  3. 足関節背屈促通: 下肢からの適切な運動連鎖の確保。
  4. 胸椎伸展ROMエクササイズ(ツインボール使用): Th6〜9(特にTh6-7)の棘突起間を狙い、スタティックな圧迫と自重・呼吸を用いて、物理的ストッパーとなっている胸椎の伸展を引き出す。
  5. 寝返りエクササイズ(徒手介入): 動作イメージの入力とともに、体幹の回旋を促通。「屈曲回旋」から本来の「伸展回旋」パターンへの神経系の再学習を図る。

【今後の課題・方針】

  • セルフケア指導: 病室へ「ハーフポール」を導入。安定した状態で側屈を促し、肋間および胸郭サイドの拘縮を持続的にリリースさせる。
  • 自宅復帰後のメニュー検討: 壁呼吸(胸郭拡張)および胸椎伸展メニューの継続。