1. (S) 主観的情報:クライアント様からの申告
このセクションでは、クライアント様ご自身が感じていらっしゃる身体の状態や日常生活での変化について記録します。ご自身の体感は、現在の身体が発している最も正直なメッセージであり、私たちが施術方針を決定する上で最も重要な出発点となります。 今回、クライアント様からお話しいただいた内容は以下の通りです。
これらのご申告は、単なる一時的な不調ではなく、身体の構造的な問題が表面化してきたサインである可能性を示唆しています。次に、私の専門的な視点から身体を客観的に評価した結果と、これらの症状がどのようにつながっているのかを見ていきましょう。
2. (O) 客観的所見:術者による身体評価
ここでは、術者の専門的な視点から、お身体の状態を客観的に評価した結果をご報告します。ご自身が感じている症状(主観的情報)と、専門家が見立てる身体の構造的な状態(客観的所見)を照らし合わせることで、問題の根本原因をより正確に特定することができます。 お身体を拝見したところ、以下の2点が顕著な所見として確認されました。
これらはいわゆる「姿勢が悪い」状態ですが、単に見た目の問題に留まりません。背骨全体のバランスが崩れることで、首や肩、そして腰にまで過剰な負担が常にかかり続けている状態です。これが、クライアント様が感じていらっしゃる慢性的な不調の根本的な原因であると分析します。 これらの客観的な所見が、なぜ肩こりや握力低下といった症状につながるのか。次の「評価」のセクションで詳しく分析していきます。
3. (A) 評価:症状と原因の分析
この「評価」は、クライアント様からの申告(S)と、私の客観的所見(O)を結びつけ、なぜ今の症状が起きているのか、その根本原因を解明する最も重要なセクションです。 「なぜ猫背だと肩がこり、握力が低下するのか?」 この問いにお答えします。猫背になり、頭が前方へ突き出る姿勢(前方頭位)になると、重い頭を支えるために首から肩、背中にかけての筋肉が常に緊張し続けることになります。これが、慢性的な肩こりの直接的な原因です。 さらに深刻なのは、握力の低下です。これは単なる筋力の問題ではありません。背骨、特に首の骨(頸椎)の並びが崩れると、脳から腕や手へと向かう重要な神経の通り道が圧迫されやすくなります。神経の伝達がスムーズに行われなくなることで、指先に力が入りにくくなる、つまり握力が低下するという現象が起こるのです。
したがって、現在感じていらっしゃる握力の低下は、脊柱のアライメント異常が神経系にまで影響を及ぼし始めていることを示す、非常に重要な兆候(サイン)と言えます。
現状、症状を改善するために処方させていただいたセルフケア(矯正エクササイズ)を日常生活の中で継続的に実践することが難しい状況にあることも、症状の緩解を遅らせている一因と考えられます。お忙しい毎日とは存じますが、この重要なサインを見逃さず、共に改善に取り組んでいきましょう。 この評価に基づき、今後の具体的な施術方針とご自宅でのケアについて、次の「計画」でご提案します。
4. (P) 計画:今後の施術方針と指導
上記の評価(A)で明らかになった課題に対し、ここからはクライアント様と共に、回復へのパーソナライズされた道すじ(ロードマップ)を創り上げていきます。二人三脚で、快適な身体を取り戻していきましょう。
今後の施術方針 引き続き、脊柱全体のアライメント(骨の並び)を正常な状態へ整えることを中心に施術を進めてまいります。特に、胸椎の柔軟性を取り戻し、頭が正しい位置に戻るようアプローチすることで、神経の圧迫を取り除き、首や肩への負担を根本から軽減させることを目指します。
セルフケアの重要性 施術による改善効果を維持し、さらに高めていくためには、ご自宅でのセルフケアが不可欠です。前回お伝えした猫背矯正エクササイズは、日々の生活で崩れがちな姿勢をリセットし、正しい状態を身体に記憶させるための重要なトレーニングです。少しずつでも結構ですので、ぜひ毎日の習慣として取り入れていただくことを強く推奨いたします。
【重要参考事例】握力低下と脊柱アライメントの関連性 ここで、クライアント様の不安を煽るためではなく、ご自身の身体に起きていることへのご理解を深め、セルフケアへのモチベーションを高めていただく目的で、非常によく似た症状を克服された別のクライアント様の事例をご紹介します。
根本原因の分析: 彼女の身体を評価したところ、深刻な握力低下は以下の連鎖によって引き起こされていました。
症状:深刻な握力低下: 圧迫された神経が、腕や手への指令を正しく伝えられなくなった。 まさに「背骨は一本」であり、背中や腰の状態を無視して首だけを処置することの危険性を示す典型的な例でした。 当院でのアプローチと結果: 私たちは、まず神経の炎症を鎮めることを最優先しました。無理に骨を動かすのではなく、当院の主義として炎症が強い場合はまずアイシングに徹します。その結果、わずか数回の施術で、左手の握力は13から22.7へと劇的に回復したのです。
本事例からの教訓: この事例は、「正しい原因分析と適切なケアが、神経症状さえも劇的に改善させる」という事実を物語っています。クライアント様が今感じていらっしゃる握力低下も、決して手の問題ではなく、背骨からの重要なメッセージです。このメッセージを正しく受け止め、私たちと共に行動することで、この方のように改善へと向かうことができると確信しています。
5. ご紹介いただいたクライアント様の経過について
先般、クライアント様にご紹介いただいた80代の女性クライアント様のその後の経過についてご報告させていただきます。 あの方は当初、強い膝の痛みを訴えておられましたが、詳しく拝見したところ、痛みの根本原因は膝そのものではなく、腰の不調にあることが判明しました。その旨をご本人にご説明し、腰を中心とした施術を行ったところ、ご自身でも「原因は腰だったのか」と深く納得され、快方へと向かわれています。 このように、当院では常に症状が出ている箇所だけを見るのではなく、その根本原因がどこにあるのかを探求し、全身のバランスを整えることを信条としております。
結び
握力の低下というお身体からの重要なサインに気づき、真摯に向き合おうとされている今が、まさに改善への最大の好機です。私たちがその道のりを伴走し、ペットボトルのキャップを楽に開けられるような快適な日常を取り戻すため、全力でサポートいたします。 今回のレポートが、ご自身の身体への理解を深める一助となれば幸いです。また次回のご来院を心よりお待ちしております。何かご不安な点やご質問がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
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